何を活かすべきか

 「新型コロナウイルス感染一連のなかでいいこともあるさ」等と軽口をたたくつもりはありません。ただ不幸にも不便に感じることが起きているのは事実です。それを克服していこうと頑張っておられる方がいます。それならば元に戻すのではなくて、もう少し想いを先にめぐらし、元の暮らしに戻った時、誰もが住みやすい社会、暮らしになるようになっているようにしたいと思います。

  トリアージという手法があります。今回でもそうなのですが、主には災害に使われます。死亡、緊急処置、軽傷などの区別をするタグをつけ対応をしていくやり方です。政治の分野、社会形成の中でも、緊急性の高いものから低いものへ、死体のごとく見て見ぬふりをされるものもあります。でも今回の不便さは本来の死体ではないわけで、掬い上げたら救えるものも沢山あるはずなのです。

 苦しい、不便と感じるのは世界共通の声です。しかし、これが去ってしまえば、一部の人の不便さ、息苦しさのみが取り残されたままになってしまいます。高齢者は高齢者の、子供は子供の、障害者は障害者の、それぞれが普段から抱える不便さがあります。それかこのコロナウイルスによってみんなの不便さと重ね合わせ、これを改善・克服できれば、世界を巻き込み、多くの死者まで出した新型コロナウイルスへやり場のない怒りや焦燥感といったものに対するせめてもの心の落としどころになるのではないでしょうか。