見たものをそのまま

 インスタグラムでよくお目にかかる幻想的写真には絶対に目には映らない光景が写っている。代表的なものが星空に何かを絡ませた写真。必ずと言っていいほど周期を描いている。北であれば円を描くように撮れる。技術的には三脚に固定し30分以上露光する。周囲の建物などは別撮りして合成することもある。デジタルの発達によって私たちの目ではありえない光景を作ることができる。

 これと似たような写真に滝を撮ったものがある。これもスローにして撮ると流れが見える白滝になる。白く色づくまで見えないが、水の切れ間のない流れは、日常目にする。鉄道では二種類ある。鉄道自体が流れて見えもの、鉄道は止まって背景が流れるもの。後者は流し撮りと言って鉄道にピンを固定し、おなじ速度でカメラを振ると、背景のみがブレ、いかにも力強く走っている図になる。運動会で使われる技術。流し撮りはは客観的には見えない世界でも、主観的、つまり走ってる当人や車内から見える風景としてこれも日常ある風景なので上にあげた写真の意味合いとは少し違う。

 いずれの写真にしてもパソコンソフトで加工をすれば、より幻想的な仕上がりにもなるが、ここまでくると作画の比率のほうが高くなるように思え、純粋な写真なのか疑問に感ずる。デジタルフォの分野としては確立されたもので否定はできないが、編集はトリミングと色合いの微妙な調整にとどめたいと思っている。

 日常に見えない風景が写真として成立しないというわけでないが、カメラの技術や編集の技術で、かけ離れた色や幻想風景を創ることに多少の違和を感じる。