自粛と禁止のはざまで

 行政府が出す要請に罰則がないことに賛否があります。罰則がないから守られない、手ぬるいとした意見。に対し、日本はそういう国なのだ、罰則がなくとも自制を利かせることができる、だからこそ平和で自由な国でいられるのだと。どちらかと言われれば後者なのかもしれません。

 海岸でサーフィンに興じる若者たち、他県にパチンコに行く人たちには、自粛の声が届ていいないのでしょうか?おそらくそうではなく、届いていても自粛する気がないのでしょう。つまり自粛はあくまで「自」を「粛」するであり、他人に促されることはあっても、最終的には人に強要されることではないからです。

 この場合、経営者が使うのなら「営業を自粛します」或いは「入店禁止」が正しいでしょう。海岸などは管理者がいないのですから「立ち入り禁止」になります。ただし難しいとこですが、屋外の場合すべてを立ち入り禁止にしてしまうと付近の住民の散歩の妨げになってしまうことにもなります。それでもやはり、「禁止」でよいのでしょう。

 「禁止」場所へ立ち入ったその先に、罰則を付けるかどうか、相手が「自粛」してくれるかは別の話として、「してはいけない事」、「されたくない事は」自分の事してとらえる言い回しをするべきでしょう。

 「自粛」もそうですが「ご遠慮ください」も同じ響きを持っています。日本人の美徳でもありますが、イメージを守るためであったり、責任回避の意味合いも含んで使われている事もあるように感じます。はっきりと打ち出さなればならない時の言い回しとしてはいささか不十分だとも思うのです。