影響力ゆえに立ち止まる

 芸能界からのメディア・SNS発信でお騒がせがつついています。

 一つは某ラジオからの「コロナが収束したら、もの凄く絶対おもしろいことある(中略)苦しい状態がずっと続きますから(中略)美人さんがお嬢やります(中略)稼がないと苦しいですから(中略)だから今、我慢しましょう」発言。

 とあるリスナーから寄せられた投稿ネタに対しての返答。投稿者に何らかの意図はなく、ただ「風俗に行けず寂しい」と呟いただけで、「俺もそう」などと簡単に返せばなんともないやり取りを、彼特有のサービス精神を付け加えたところ、彼の中に潜んでいる女性に対する蔑視、卑下する感覚が見えてしまったのだと思います。

 自分が持っている倫理観が、世間的に正しいのかは、この問題にかかわらず常に自問自答するべきなのだろうと思います。その上で、自分が今どの位置にいて、どれだけの影響力を持つかを常に客観的に分析しておく必要があります。その上で言葉を道具にするプロですから、仮にずれた人生観を持っていたしとても、本心とは別に、その場の空気と倫理観を保つ言葉のチョイスは、とっさにおいてもできなければならないでしょう。

 ラジオ・テレビ共に、生放送でとっさに口をつく言葉は本音としてそのまま発信される怖い世界です。

 もう一つは「検察庁法改正案に抗議します」とSNSにツイートしたところ、ファン同士で意見が分かれ争いになったのが悲しくて、ツイートを取り下げたことです。個人の意見として想いを発信すること自体には何ら問題はなかったたはずです。

 ただ、SNSの性質として、どういった意見を持った人が見ていて、何を発言してもいいこと自覚し発言すべき(歌手が政治を語るな投稿は誹謗中傷なのでこれに当たらない)でした。彼女を好きになったからといって思想全てを好きになったわけではないのですから。

 この二つに共通することは、「自分の影響力を冷静に分析できているか」「言葉を校正せず垂れ流しにしてないか」「メディア、SNSの性質を理解しているか」ということ。便利な世の中、手間をかけない世の中になる分、発信する時には、冷静・慎重・責任を忘れないことが必要なのでしょう。